「vale」は2007年から2017年まで兵庫県西宮市にあったスペイン料理店で、私がオーナーシェフとして初めてオープンしたレストランです。
「vale」とはスペイン語で「価値」という意味で、お客様に「訪れる価値がある」と思って頂けるようなお店にする、という思いで名づけ、「スペイン料理×和食材」をコンセプトに料理を作りました。
当時26歳で、今考えれば「よくやったな」と自虐的に思います。
ハード面でいえばスケルトンの物件で全く何もない状態からレストランを作ってお金が掛かりましたし、ソフト面でいえばまだまだ発展途上の料理技術（それは現在も同じですが）しかありませんでした。
さらに「毎月メニューを新しいものに変え続ける」という無謀なことを自分に課して毎月末は死にそうになってました。それでもそれを楽しみに来て下さるお客様が徐々に増えていき、なんとか10年営業を続けることができたことが私にとって今も自信となっています。
vale営業6年目にして器について考えるきっかけがあり、自ら陶芸に触れ、10周年でvaleを閉め新たなレストランを開くことを決めて、瀬戸市でさらに陶芸を勉強する傍ら、漫画みたいな展開で焼そば屋さんを手伝うことになり、そのまま移住し、そのお店を間借りして2つの形態の店舗を経営し、これまた発展途上の陶芸技術で器を作り、3店舗目「tridor」をオープンするに至りました。
valeを閉店するときに予定していた展開とは大分違いますが、色々な縁が重なり至った現在をとても楽しく思っています。
tridorオープンにあたってvaleのホームページを見直していたところ「作り直してみようかな」と思い、そんな余裕はないはずなのにリマスタリングしてしまいました（でもだいたい忙しいときに限って普段では気にならないところの掃除とか片づけをしてしまいますよね）。
奇しくもこのホームページはTCDさんの「Rebirth」というWordpressテーマを使って作っています。何の巡りあわせかvaleが再びこうやって生き返ったことを自分のことながらちょっと嬉しく思っています。料理写真やメニュー画像など何分昔のもので見づらいかと思いますがご容赦頂きRebirthしたvaleを楽しんで頂ければ幸いです。
2024年1月 網田真之